「なろう系小説のコミカライズなんて、どれも似たような絵柄でしょ?」
正直なところ、そんな風に思っていた時期が私にもありました。
しかし、ある作品の第1話を読んだ瞬間、その思い込みは真っ二つに叩き斬られました。
今回ご紹介するのは、今もっとも熱いファンタジー漫画『片田舎のおっさん、剣聖になる』(原作:佐賀崎しげる / 漫画:乍藤和樹)です。
この作品、ストーリーが面白いのはもちろんなんですが、何より「漫画としての画力(えぢから)」と「剣戟(けんげき)アクションの構成」が、異常なまでに完成度が高いんです。
主人公は、片田舎のしがない剣術道場主・ベリル先生。
「自分は大したことない」と謙遜するおじさんが、実は国一番の実力を隠し持っている……という、いわゆる「勘違い系」の物語。
ですが、この漫画版はその「強さの説得力」が段違いです。
静寂から一転、ページをめくった瞬間に炸裂する剣速。 重量感のある一撃。
そして、枯れたおじさんがふと見せる「剣聖」の眼光。
「魔法でドッカン!」な派手なバトルも良いですが、「技術(テクニック)と経験で制する、渋いおじさんの戦い」を見たいなら、この作品は絶対に外せません。
今回は、アクション漫画好きの私が思わず唸ってしまった、漫画版『片田舎のおっさん、剣聖になる』の凄まじい作画と演出の魅力について、徹底的に語らせてください。
DMMブックスやU-NEXTで読むことができます。下記から公式サイトに行って読んでみて下さい。
見どころ①:静と動のメリハリ!「剣戟」の描写が神
ファンタジー漫画のアクションシーンといえば、魔法で派手な爆発が起きたり、とんでもない身体能力で空を飛んだりと、とにかく「派手さ」が重視されがちです。
しかし、『片田舎のおっさん、剣聖になる』の戦闘シーンは一味違います。
ここで描かれるのは、極限まで研ぎ澄まされた「剣術」のリアリティです。
私が特に感動したのは、作画を担当する乍藤和樹先生の「静と動」の描き分けです。
息を呑む「タメ」と、瞬きの間の「一閃」
ベリル先生の戦い方は、力任せに剣を振り回すものではありません。
相手の動きを冷静に見極め、最小限の動きで制する「達人」の戦い方です。
漫画版では、この「見極める静寂の時間」と、「剣を抜いて斬り結ぶ一瞬」のコントラストが凄まじい。
コマとコマの間で何が起きたのか?
読者の脳内で「剣が走る音」や「空気が裂ける音」が再生されるほど、動きの導線(殺陣)が完璧に計算されています。
ただ線が多いだけの「なんとなく速そうな絵」ではなく、「どう動いて、どう斬ったか」が明確にわかるからこそ、読んだ後にスカッとする爽快感があるのです。
絵だけで伝わる「痛さ」と「重さ」
また、剣と剣がぶつかり合った瞬間の「重さ」の表現も白眉です。
金属同士が噛み合う不快な音や、受け止めた手首にかかる衝撃。
そういった「痛み」や「重力」までもが、画面越しに伝わってきます。
特に、ベリル先生が使う「ヂュベール剣術」は、派手な必殺技というよりは実戦的な剣術。
相手の剣をいなす(受け流す)技術や、体捌き(フットワーク)など、地味になりがちな玄人好みの動きが多いのですが、この漫画にかかればそれが「最高にカッコいいアクション」へと昇華されます。
「魔法でドーン!」も良いですが、「剣一本、技術一つで戦況をひっくり返す」というカタルシス。
これこそが、本作が他のファンタジー漫画と一線を画す最大の理由ではないでしょうか。
見どころ②:「枯れたおじさん」の色気がすごい
漫画において「おじさんキャラ」というのは、脇役か、あるいはイケメンをそのまま老けさせたようなキャラになりがちです。
しかし、本作の主人公、ベリル・ガーデナントは違います。
作画担当の乍藤先生が描くベリル先生は、「枯れた大人の男」としての質感(テクスチャ)が凄まじいのです。
「しょぼくれた背中」と「剣聖の眼光」のギャップ
普段のベリル先生は、文字通り「片田舎のおっさん」です。
少し猫背で、腰痛を気にし、無精髭を生やした、どこか頼りない風貌。
しかし、剣を握った瞬間にその空気が一変します。
深く刻まれた眉間のシワ、鋭く細められた眼光、そして張り詰めた筋肉の躍動。
この「普段の脱力感」と「戦闘時の色気」のギャップが、読者の心を鷲掴みにします。
美少年や美少女には出せない、積み重ねてきた歳月だけが醸し出せる「渋み」。
これを絵だけで表現しきっている表現力には脱帽するしかありません。
画面を引き締める「おじさん」の存在感
また、この作品にはアリューシアやスレナといった、とびきり美しい女性キャラクターたちが多数登場します。
画面がキラキラと輝くような彼女たちの中に、泥臭く、実直なベリル先生が一人混ざる。
この対比が素晴らしいのです。
周囲が華やかであればあるほど、ベリル先生の「飾らない、いぶし銀のカッコよさ」が際立ちます。
「イケオジ」という言葉だけでは片付けられない、哀愁と強さが同居した「最高のおっさん」を見たいなら、この漫画の作画はまさに理想形と言えるでしょう。
見どころ③:言葉がいらない「勘違い」の演出力
この作品の最大の面白さは、ベリル先生の「自己評価の低さ」と、周囲の「過剰な尊敬」が食い違う「すれ違い(勘違い)」の構造にあります。
漫画版では、このコントのようなギャップが、セリフの説明なしに「絵」だけで表現されているのが本当に上手い!
「焦る内心」と「フィルター越しの解釈」
例えば、ベリル先生が内心で「うわぁ、面倒なことになった…早く帰りたい…」と冷や汗をかいているシーン。
読者にはその情けない(愛らしい)表情が見えているのですが、弟子や敵対者視点のコマに切り替わると、まったく同じ顔が「余裕の笑みを浮かべる不敵な表情」として描かれています。
この「視点による見え方の違い」の演出が秀逸です。
シリアスな展開の中に、絶妙なタイミングでこのコメディ要素が差し込まれるため、読んでいて重くなりすぎず、テンポよく読み進めることができます。
カッコいいだけのヒーローではなく、人間味あふれる「弱気なおじさん」の顔があるからこそ、私たちはベリル先生を応援したくなるのでしょう。
まとめ:アクション漫画好きなら必読の一冊
ここまで熱く語ってきましたが、『片田舎のおっさん、剣聖になる』は、単なる「なろう系小説のコミカライズ」という枠には収まりきらない作品です。
- ページをめくる手が止まらない、疾走感あふれる「剣戟アクション」
- 哀愁と色気が同居する「おじさん」の絶妙な作画
- シリアスとコメディを行き来する、巧みな構成力
これらが高いレベルで噛み合った、「漫画として非常に完成度の高い作品」と言えます。
特に、「最近のファンタジー漫画は魔法ばかりで物足りない」「地に足の着いた、渋い戦いが見たい」という方には、自信を持っておすすめできます。
騙されたと思って、ぜひ第1話の戦闘シーンだけでも読んでみてください。きっと、ベリル先生の剣技(と可愛さ)に魅了されるはずです!
下記のDMMブックス、U-NEXTの公式サイトより試し読みできます。ぜひ読んでみて下さい。


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