天才はDF(ディフェンダー)で生まれる!『アオアシ』主人公・葦人の「視野」がなぜ革命的なのか?

漫画レビュー

「サッカーの華はストライカーだ!」

そう考えているあなたにこそ読んでほしいのが、サッカー漫画『アオアシ』です。

多くのサッカー漫画が「点を取るFW(フォワード)」を主人公にする中、『アオアシ』の主人公・青井葦人(あおいあしと)は、なんとDF(ディフェンダー)としてサッカー界に革命を起こします。

それも、彼が持つ特異な「視野」を武器に。

この記事では、『アオアシ』の主人公・葦人がいかにして「DFの天才」として覚醒していくのか、そして彼の「視野」がなぜ現代サッカーにおいて革命的とまで言えるのか、その秘密を深掘りしていきます。

凡才FWから「異端のDF」へ— 葦人の衝撃的なコンバート

物語の序盤、青井葦人は愛媛の弱小中学サッカー部で、己の直感と身体能力だけを頼りに点を取る、荒削りながらも強烈なFWでした。

彼の才能は、東京シティ・エスペリオンFCユースの監督・福田達也に見出されますが、そこで彼に言い渡されたのは、まさかの「DF(サイドバック)へのコンバート」でした。

FWとして活躍を夢見ていた葦人にとって、このコンバートはまさに青天の霹靂。

しかし、この決断こそが、彼の隠された真の才能を開花させる転機となるのです。

なぜFWではダメだったのか?

葦人は確かに得点感覚に優れていましたが、周りが見えておらず、チームプレーを苦手としていました。

Jユースというエリート集団の中では、単なる個の力だけでは通用しない現実が突きつけられます。

DFとしての適性とは?

福田監督は、葦人が無意識のうちに行っていたあるプレーに気づきます。

それは、ボールから目を離しても、フィールド全体の状況を把握し、味方や相手の位置を正確に「認識」している能力でした。

これが、彼を「DFの天才」へと導く鍵となります。

革命的な「俯瞰の視野」— フィールドを“見える化”する葦人の能力

葦人の「視野」は、単に「周りが見える」というレベルではありません。

彼は、まるで鳥瞰図のように、フィールド全体を上空から見下ろすような感覚を持っています。

「全体を見る」とは?

普通の選手がボールと数人の選手しか視界に入れないのに対し、葦人は22人すべての選手の位置関係、ボールとゴールの位置、そしてどこにスペースがあるのかを瞬時に把握できます。

これは、まるでゲームの戦略画面を見ているかのような能力です。

「オフ・ザ・ボール」の動きの可視化

現代サッカーでは、ボールを持っていない時の動き(オフ・ザ・ボール)が非常に重要です。

葦人の視野は、味方の選手がどこに動けばパスコースができるか、相手選手がどこに動こうとしているのかといった、目に見えにくい「動きの意図」までを捉え、「これから起こる未来」を予測することを可能にします。

DFとしての「予測」と「指示」

この俯瞰の視野を持つことで、葦人は相手の攻撃の意図を先読みし、危険なコースを事前に潰したり、味方の選手に的確な指示を出すことができるようになります。

つまり、彼はただ守るだけでなく、「守備をデザインする」ことができるのです。

なぜ現代サッカーで「DFの視野」が革命的なのか?

サッカーの戦術が高度化する現代において、葦人のような「俯瞰の視野」を持つDFは、まさに「革命的な存在」と言えます。

攻撃の起点となるDF

現代のサイドバックやセンターバックは、単に守るだけでなく、攻撃のビルドアップ(組み立て)の起点となる役割が求められます。

葦人の視野は、相手のプレスを回避し、最も効果的なパスコースを見つけ出し、攻撃を加速させることを可能にします。

「ゲームメイカー」としてのDF

ピッチ全体を把握できるDFは、まるでフィールド上の「司令塔」です。

的確なポジショニングの指示や、パスの出しどころを見極めることで、チーム全体のバランスを保ち、攻守の切り替えをスムーズに行うことができます。

戦術の複雑化に対応

ゾーンディフェンスやプレッシング、可変システムなど、現代サッカーの戦術は非常に複雑です。

葦人の視野は、これらの複雑な戦術を理解し、ピッチ上で瞬時に実行するための「目」となるのです。

まとめ:『アオアシ』が提示する「新しい天才像」

『アオアシ』は、サッカーにおける「天才」の定義を広げ、私たちに新しい視点を与えてくれます。

点を取る派手なストライカーだけでなく、ピッチ全体を見渡し、チームを勝利に導く「目」を持つDFもまた、サッカーにおける真の天才なのです。

葦人の成長を通じて、あなたはサッカーの奥深さ、特にDFというポジションの重要性と魅力を再認識するでしょう。

彼の「革命的な視野」が、Jユース、そして日本サッカー界にどんな変化をもたらすのか。ぜひ、『アオアシ』を読んでその目で確かめてみてください。

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